米最高裁は6月21日、州政府がネット通販業者に対し、売上税の徴収義務を課すことを認める判決を出した。各州政府は今後これに基づき、具体的な徴収方法を検討し、売上税法を改正することになる。これにより米アマゾン・ドットコムをはじめとする米国のネット通販業者は、打撃を受ける可能性があると指摘されている。
売上税実質免除の従来制度
売上税は、日本の消費税のように物品やサービスの販売時に課す税。制度を定めているのは連邦政府ではなく、州政府だ。これまでは、原則、販売業者が州外に住む消費者に商品を売る場合、実質的に徴収義務が免除されていた。販売業者が、消費者の住む州に店舗や事業所、倉庫を持つ場合に限り、徴収義務が課されていたのだ。
一方で、消費者は、州外の業者から商品を買う場合、売上税を納める代わりに、売上税と同率の使用税を居住する州に申告して、納めなければならない。しかし米シーネットによると、こうして正しく使用税を納めている人は、ごくわずかだという。
使用税を納めない消費者は、州外の業者のネット通販を利用して商品を購入した方が、税金分支払額が少ない。当然だが、その金額差は、高額商品ほど大きくなる。例えば、米ウォールストリート・ジャーナルによると、ニューヨークの小売業者B&Hのネット通販で、3099ドルのキヤノン製カメラを購入する場合、ニューヨークに住む人は、275.04ドルの売上税が課される。しかし、サンフランシスコの住人がこれを購入する場合はそれがない。
こうした売上税の実質的な徴収免除は、ネット通販の急拡大につながった要因の一つだと、日本経済新聞の記事は伝えている。また財政難に悩む多くの州は、「従来制度のせいで、巨額の税収が失われた」と訴えているという(日本経済新聞の別の記事)。
本記事は、日本ビジネスプレス社のサイト「JBpress(日本ビジネスプレス)」向けに弊社が執筆した記事「アマゾンのビジネスは今後も安泰? 米国でネット通販の売上税法改正へ」の一部です。全文は、JBpress(日本ビジネスプレス)のサイトにてお読みください。