韓国では先ごろ、巨大IT(情報技術)企業によるモバイルアプリ決済の排他的な契約に制限をかける法律が成立した。まもなく、文在寅大統領の署名を経て公布・施行される見通しだ。
これにより、米グーグルや米アップルはアプリストア内で、アプリ開発者に対し自社決済システムの利用を義務付けることができなくなる。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、韓国の業界団体は、「消費者に複数の決済手段が用意されることに伴い、アプリ料金が低く抑えられる」と期待している。
だが、利用者にとって、アプリからいったん離れ、別の決済手段で手続きすることは煩わしい。開発者は外部決済システムを新たに構築しなければならず、中小の業者にとって負担増になる。結局はこれまで通りグーグルやアップルの決済システムを利用し続ける開発者も少なくないだろうとアナリストは指摘している。
韓国モバイルアプリ市場
モバイルアプリのマーケティング会社、米センサー・タワーによると、韓国のモバイルアプリ支出額は世界4位。同国市場は米国、日本、中国に次ぐ規模。 グーグルとアップルは、自社決済システムで販売額の15~30%に相当する手数料を徴収している。ネイバーやカカオなどが加盟する韓国インターネット企業協会によると、同国内アプリ開発者の収入は、グーグルとアップルによる手数料徴収によって年間2兆ウォン(約1900億円)減っているという。
また、韓国では、自国のサムスン電子とLG電子製スマートフォンを利用している人が約75%に上る。つまりグーグルのOS「Android」とアプリストア「Google Play」の利用者が圧倒的に多く、同社によるアプリ決済強制への反発が高まっている。こうしたことから、先ごろ成立したアプリ決済強制禁止法は「グーグルパワハラ防止法」とも呼ばれている。
本記事は、日本ビジネスプレス社のサイト「JBpress(日本ビジネスプレス)」向けに弊社が執筆した記事「韓国の新法巡るアプリ開発者のジレンマ」の一部です。全文は、JBpress(日本ビジネスプレス)のサイトにてお読みください。