米大手企業の大半で、中間所得層の賃金が新型コロナ禍前より高くなった。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、S&P500採用銘柄のうち275社は、2021年の中間所得層報酬が19年の水準を上回った。うち150社は19年比で10%以上増加した。また、米動画配信大手Netflix(ネットフリックス)や米鉄鋼大手Nucor(ニューコア)を含む140社超の年収中央値は10万ドル(約1300万円)以上だった。
米企業は21年にオフィスや店舗などを再開したり、受け入れ客数を増やしたりした。それに伴い雇用拡大や離職防止の必要に迫られボーナスなどの臨時報酬を支給した。また、時間給労働者の獲得競争が業種を越えて激化したほか、テクノロジーや財務分野などのホワイトカラー職種の需要も増大した。こうした中、22年は様々な所得層で報酬の伸びが見込まれると指摘されている。
例えば、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は22年2月、米国でホワイトカラーの基本給を大幅に引き上げると明らかにした。基本年収の上限を従来の16万ドル(約2090万円)から35万ドル(約4580万円)と2倍以上にする。米CNBCによると、アマゾンは社員宛てのメモで、「21年の労働市場は特に競争が激しく、我々は様々な選択肢を徹底的に分析した。当社事業の経済性と優秀な人材の維持の重要性を考慮し、報酬水準を通常の年よりも大幅に引き上げることにした」と伝えた。
アマゾンは世界の大半のポストで全体的な報酬幅を拡大することも明らかにした。「今回の引き上げはこれまでよりもかなり大幅になる」と説明している。
WSJなどによると米Apple(アップル)は22年5月、従業員宛て電子メールで「全体的な報酬予算を増額する」と明らかにした。米国の時間給従業員の初任時賃金は1時間当たり22ドル(約2900円)となり、18年比で45%増える。労働市場の状況によってはさらに上がる可能性もあるという。WSJはアップルが米国オフィス職の初任給も引き上げると報じている。
このほか、米Microsoft(マイクロソフト)は22年5月、成果ベース昇給向けの予算を世界全体でほぼ2倍にする計画を社員に伝えた。米Google(グーグル)も人材確保・維持のために報酬体系を見直したとCNBCは報じている。
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