米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2023年9月15日、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)の幹部らが、「第4の柱(fourth pillar)」と呼ぶ次の大ヒット事業を何年もの間、模索し続けていると報じた。アマゾンはこれまで主力の電子商取引(EC)事業を起点として、様々な業界に進出してきた。新規事業に数十億ドル(数千億円)を投じ、そのたびに投資家の関心を集めてきた。だが、いまだ第4の柱と呼べるような事業には成長していない。
WSJによれば、アマゾンの事業における3本柱とは、(1)直営ネット通販および外部業者が出品するマーケットプレース、(2)Prime(プライム)サブスクリプション(定額課金)、(3)クラウドコンピューティングのAmazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)――だ。
これらをアマゾンが先ごろ発表した2023年7~9月期の事業別売上高で見てみる。まず、(1)直営ネット通販事業の売上高は前年同期比7%増の572億6700万ドル(約8兆6700億円)、出品者向けサービス(決済手数料や物流サービス収益)は20%増の343億4200万ドル(約5兆2000億円)だった。
(2)のサブスク収入は14%増の101億7000万ドル(約1兆5400億円)で、(3)のAWSの売上高は12%増の230億5900万ドル(約3兆4900億円)だった。これら3事業の売上高合計は1248億3800万ドル(約18兆9000億円)となり、同社全売上高のほぼ9割を占めた。
一方、実店舗やエンターテインメント、ハードウエア、医療サービスは、同社が近年力を入れている分野だが、今のところ、収益性の高い事業には至っていないようだ。例えば、実店舗事業はまだ規模が小さい。その23年7~9月期の売上高は、前年同期比6%増の49億5900万ドル(約7500億円)で、全売上高のわずか3.5%だった。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は23年2月、傘下のスーパーマーケットチェーン「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」について、「アマゾンが17年に137億ドル(当時のレートで約1兆5000億円)で買収して以降、1兆6000億ドル(約242兆円)規模といわれる米食品・日用品市場で、当時競合が恐れていたような影響を及ぼしていない」と報じた。確かに的を射ているようだ。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「実るかAmazon「第4」の成長事業、力を入れる生成AI・医療・衛星通信」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。