米Adobe Systemsが米国時間3月19日,「Apollo(アポロ)」(開発コードネーム)のアルファ版を公開した。ApolloはクロスOSのアプリケーション実行環境(ランタイム)。提供を始めたのは,WindowsとMac OS X向けだが,将来はLinux版も提供する予定という(関連記事)。
Webブラウザを使わないWebアプリケーション
その特徴はいくつもあるのだが,まず挙げられるのが,Webアプリケーションの利用にWebブラウザを使わないという点である。ユーザーはさまざまなWebアプリケーションを,それぞれに提供される専用ソフトを使って利用する。これまでのように汎用Webブラウザですべてのサービスを利用するという考え方とは大きく異なる。これによりユーザーはWebブラウザの制約から解放され,より操作性のよいユーザー・エクスペリエンスを享受できるという。一方アプリケーションを提供する企業側にもメリットがある。Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)を駆使した複雑なアプリケーションを作らなくてよくなり,開発期間/費用が縮小される。またApolloは,1つのソフトウエアを提供すればWindows,Mac OS,LinuxのどのOSでも動く。OSの垣根を越えて多くのユーザーに同じサービスが提供できるようになるという。
ローカル・データとマッシュアップ
筆者は試しに「Maptacular」という地図アプリケーションをダウンロードしてみた(写真1)。これは,「Google Maps」を利用するためのデスクトップ・アプリケーション。一見Google Mapsに特化した専用ブラウザのようにも思えたが,ユーザーPCのローカル・データと連携するところがWebブラウザと異なる。Google MapsというWebアプリケーションが提供する地図情報と,ユーザーのローカル・コンテンツをマッシュアップさせ,新たなサービスを提供している。今回残念ながら,どういうわけか筆者のパソコン環境では再現できなかったのだが,オーストラリアiTnews.comのレポートによれば,vCard形式のデジタル名刺をこのApolloアプリの画面にドラッグ&ドロップすると,その住所を地図上に表示するといった機能を備えているという。また自宅と会社の住所のアドレスをドラッグ&ドロップすればドライブ・ルートが表示される。そのルート・マップは保存することが可能。これによりパソコンがオフラインのときでも閲覧でき,デスクトップ・アプリケーションならではのメリットがあるという。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「Adobeの「アポロ計画」とは? 新デスクトップ・アプリで何を目指すのか」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。