トランプ米政権は、中国による先端技術分野へのアクセスを遮断するため、対中輸出規制の大幅な強化に踏み切った。この動きは、AI(人工知能)やスーパーコンピューター(スパコン)、高性能半導体など軍事転用可能な技術開発を阻止することを目的としている。数多くの中国企業を取引ブラックリストに追加した。
中国最大のサーバーメーカーやスパコンメーカーが対象
米商務省は2025年3月下旬、80の組織について、事実上の禁輸措置を取る「エンティティー・リスト」に追加したと発表した。そのうち50以上が中国企業である。これにより、米国の企業や、米国技術を製品に導入している企業は米政府の許可なく、これら中国企業と取引することができなくなる。新たに対象となったのは、中国最大のサーバーメーカー、浪潮集団(インスパー)の子会社や、スパコンメーカー、曙光信息産業の関連会社が含まれる。
この規制強化によって、米国は中国の軍事力強化やサイバー攻撃の助長につながる先端技術へのアクセスを制限し、自国の安全保障を確保する。米商務省産業安全保障局(BIS)は、量子技術や、「エクサスケール・コンピューティング」と呼ばれる、1秒間に100京回(10の18乗回)超の演算を行うことができる技術へのアクセスを一層制限する取り組みの一環として、これらの企業をエンティティー・リストに加えた、と説明した。
米CNBCによれば、そのうち、数十の中国事業体が軍事目的の高度なAIやスパコン、高性能AIチップの開発に関わっている。うち2社は、華為技術(ファーウェイ)子会社で半導体設計を手掛ける海思半導体(ハイシリコン)などの制裁対象企業に技術を供給した、と米商務省はみている。ファーウェイは2019年にエンティティー・リストに加えられた。
米商務省によると、今回の規制は、中国による極超音速兵器の開発や、イランによるドローン(無人航空機、UAV)とその関連技術の調達を阻止する狙いもある。一方、中国外務省の報道官はこの米国の措置を「国際法に著しく違反する典型的な覇権主義的行為だ」と非難したと、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。

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