海外のIT大手の2013年4〜6月期決算がほぼ出そろった。その中で注目されていた米Appleは、主力の「iPhone」の同四半期における販売台数が3124万台となり、アナリスト予想の2600万台を大きく上回った。新製品登場前の販売減速期に当たるこの時期にしてはまずまずの結果と評価され、Appleの株価は決算発表日の時間外取引で一時5%以上上昇した。
だが、その後に公表された市場調査会社各社のリポートを見ると、Appleの市場シェアは縮小傾向にあり、その要因は、同社最大のライバルである韓国Samsung Electronicsだけでないということが分かってきた。
AppleとSamsungの成長率、市場全体を下回る
例えば米IDCのリポートによると、この4〜6月期の世界のスマートフォン出荷台数は2億3790万台で、前年同期から52.3%増加した。この四半期ベースの前年同期比伸び率は、過去5四半期で最高。直前の1〜3月期と比べても、10.0%増加している。
このうち最も出荷台数が多かったのはSamsungの7240万台。Samsungの四半期ベースの出荷台数は今年1〜3月期に初めて7000万台の大台を突破し、4〜6月期もその水準を維持した。だがSamsungの前年同期比伸び率は43.9%で、市場全体の伸び率52.3%を下回っている。1〜3月期は前年同期比60.7%と高い伸び率で推移していた同社だが、ここに来て勢いに陰りが見え始めたと指摘されている。
興味深いのは、1位のSamsung、2位のAppleともに市場シェアが低下していることだ。Samsungは1年前の32.2%から30.4%に、Appleは16.6%から13.1%にそれぞれ低下した。ちなみに、AppleのiPhoneの4〜6月期の出荷台数は、前年同期比で20%増にとどまっている。
一方で3位の韓国LG Electronicsや、4位の中国Lenovo Group(聯想集団)、5位の中国ZTE(中興通訊)のシェアはいずれも上昇。それぞれの出荷台数の前年同期比伸び率は、108.6%、130.6%、57.8%となり、市場全体の伸び率を上回った。
これらに加えてIDCが注目しているのが、上位5社以外のメーカーだ。中国TCL Communication(Alcatel One Touchブランド)や中国Huawei Technologies(華為技術)などが、中国やインドといった高成長市場でAndroid搭載スマートを大量に出荷している。4〜6月期はこれら上位6社以下の「その他」メーカーの出荷台数の合計が全体の44.8%となり、前年同期の42.2%から拡大した。
本記事は、日経BP社の総合ITサイト「ITpro」向けに弊社が執筆した記事「AppleとSamsungの2強体制は終わりの始まりか、スマホとタブレットの世界市場」の一部です。全文は、ITproのサイトにてお読みください。