ここのところ米Facebookの株価が好調だ。本稿執筆時点でも2012年5月のIPO(新規株式公開)初日の終値を上回る41ドル超を維持している。IPO時の混乱やその後に指摘された業績に対する懸念から、同社の株価は長らく低迷していたが、ここに来て状況が一変したようだ。
Facebookの株価は、IPO初日に38ドルの終値をつけたが、米NASDAQ証券取引所のシステム不具合や、業績情報の開示方法を巡る混乱、そしてモバイルへの対応の遅れが懸念され、2012年9月にはその半値以下の17ドル台まで下落した。ところが、2013年に入ると徐々に回復を見せ、7月24日の決算発表後には34ドル台に急騰、そのほぼ1カ月後の8月26日には42ドル近くまで上昇し、IPO初日以来の最高値を更新した。
その好調な株価を支えているのが同社のモバイル広告事業で、今年4〜6月期の業績が転換点になったと言われている。同四半期のFacebookの売上高は前年同期比53%増の18億1300万ドル。純損益は黒字転換して、3億3300万ドルとなった。注目されていた広告収入は同61%増の16億ドル。このうちモバイル広告が41%を占めた。
Facebookの広告収入に占めるモバイル広告の割合は、2012年7〜9月期の14%から、10〜12月期には23%に、2013年1〜3月期は30%へと伸び、ついに40%の大台を超えた。
上場以来Facebookにつきまとっていた問題は、モバイル対応の遅れだ。昨今のユーザーの大半は、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末で同社のサービスを利用している。パソコン向けサービスでスタートした同社はモバイルの収益化が遅れており、この先どう成長していけるのかと懸念されていた。そうした中、2013年4〜6月期の業績は、同社がモバイル分野でも成長できることを証明したと受け止められ、株価の上昇につながった。
投資家らが懸念していたように、Facebookのユーザーはモバイル経由が着実に増えている。例えば今年6月末時点の月間アクティブユーザー数は前年同月から21%増えて11億5000万人になった。このうち、モバイル経由の月間アクティブユーザー数は同51%増の8億1900万人で、モバイルユーザーの伸び率は全ユーザーのそれを大きく上回っている。今や全ユーザーに占めるモバイルの割合は71.2%となり、こちらも前年同月の54.6%を大きく上回っている。
本記事は、日経BP社の総合ITサイト「ITpro」向けに弊社が執筆した記事「株価が突如回復したFacebook、ますます高まるモバイルへの期待」の一部です。全文は、ITproのサイトにてお読みください。