米Appleの発表によると、同社が2013年9月20日に販売を開始した「iPhone 5s」と「iPhone 5c」は9月22日までの発売後3日間で約900万台が売れた。この数は昨年発売した前モデル「iPhone 5」の1.8倍で、同じ期間の販売台数の過去最高を記録した。だがアナリストらによると、これはiPhoneが堅調な伸びを示しているにすぎず、決してAppleが宣伝するような偉業ではないという。
前モデルであるiPhone 5の発売後3日間の台数は約500万台、一昨年のiPhone 4Sの同じ期間の台数は約400万台だった。さらにそれ以前のiPhone 4は170万台。こうして見ると、発売直後のiPhoneの販売台数は年々増加している。しかし、新モデル立ち上げ時の同時発売国や、Appleのカウント方法を見ると、昨年までの数字と今回のそれは同じ条件ではないという。
アナリストが指摘、「同条件で比較すると20%増にとどまる」
アナリストらがその根拠としているのが、中国での販売台数だ。Appleが前モデルのiPhone 5を発売したのは2012年9月21日で、当初の販売対象は世界9カ国/地域だった。これには中国は含まれておらず、中国でiPhone 5の販売が始まったのは約3カ月後の12月14日。中国では12月16日までの発売後3日間で、約200万台のiPhone 5が売れている。
これに対し今回のiPhone 5sと5cの販売対象は11カ国/地域で、Appleは同時発売国に初めて中国を加えた。つまり、今回の900万台には中国の販売台数が含まれている。
さらに、900万台にはiPhone 5cの販売台数も入る。これも昨年までとは条件が異なる点だと、アナリストは指摘している。昨年までの発売後3日間の台数には、値下げして同時販売した旧モデルの数は含まれていなかったからだ。iPhoneにはハイエンドの最新モデルを特に必要としないという利用者層が一定の割合でいるが、昨年まではその数を数えていなかった。今回は5sと5cの販売台数を合計しているが、これは昨年であればiPhone 4SとiPhone 5の販売台数を合計したことになる。
米Wall Street Journalは、今回の中国における販売台数の実績を昨年のiPhone 5と同じ200万台と仮定。Appleが発表した900万台から、この200万台とアナリストらが予想するiPhone 5cの販売台数100万台を差し引いた600万台が、昨年と同じ条件での発売後3日間の販売台数になると推測している。
もちろん、600万台でも過去最高に違いはない。だが500万台から600万台への前年比伸び率は20%であり、米Googleの「Android」搭載端末の成長率80%と比べると必ずしも目覚ましいとは言えないと、Wall Street Journalは指摘している。
本記事は、日経BP社の総合ITサイト「ITpro」向けに弊社が執筆した記事「iPhone 5s/5cで中国市場に挑むApple、鍵を握るChina Mobile」の一部です。全文は、ITproのサイトにてお読みください。