米IDCが先ごろ公表したスマートフォン市場に関するリポートによると、今年の世界出荷台数は約12億台となり、昨年から19.3%増にとどまる見通しだ。世界のスマートフォン出荷台数は昨年1年間で39.2%伸び、初めて10億台の大台を突破した。だがここに来て北米や欧州、日本などの成熟市場で飽和状態に近づいており、今後は高い成長が見込めないという。
これに加え、これまで世界の成長エンジンとされてきた中国市場に初めて停滞が見られた。こうしたことからIDCは、世界出荷台数の前年比伸び率は2017年に8.3%、2018年に6.2%に低下すると予測している。
約2年ぶりに前四半期割れ、中国スマホ市場
これに先立ち同社が公表していた別のリポートによると、世界最大の市場である中国における昨年10〜12月期の出荷台数は9083万台にとどまり、7〜9月期の9487万台から4.3%減少した。IDCによると、それまで9四半期連続で伸びてきた中国市場にとって「初めてのつまづき」。同社のアナリストは、「中国における成長減速は一時的なものではない。爆発的な成長は、今後数年で緩やかな成長へと変わる」と分析している。
中国市場の成長減速に伴い今後は、昨年出荷台数規模で世界3位になったインド市場が成長していくとIDCは見ている。ただし、前述の通り昨年10〜12月期の中国の出荷台数は9083万台。これに対しインドは1506万台と、まだ6分の1程度。中国は、アジア太平洋地域(日本を除く)の成熟市場(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港、台湾、韓国)の合計台数である1620万台や、東南アジア(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の合計、1321万台と比べても5〜7倍の規模(グラフ1)。同国の世界市場全体及ぼす影響は非常に大きい。
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本記事は、日経BP社の総合ITサイト「ITpro」向けに弊社が執筆した記事「もはやスマホは急成長しない?」の一部です。全文は、ITproのサイトにてお読みください。