このところネットサービス企業によるIPO(新規株式公開)のニュースが相次いでいる。この5月にはビジネス向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の米LinkedInと、中国SNS最大手の人人網(Renren)が米ニューヨーク証券取引所に上場した。同月にはロシアの検索エンジンYandexも米NASDAQ市場に上場し、いずれも公開価格を大きく上回っている。また6月2日には米クーポン共同購入サイト最大手のGrouponが米証券取引委員会(SEC)にIPO申請書を提出しており、インターネットラジオの米Pandora Mediaもその調達額を引き上げたと伝えられ話題になっている。
Groupon、赤字続き明らかに
中でもGrouponは米Google以来の大型IPOと言われ、今、最もメディアをにぎわしている。Grouponが提出した書類には、最大7億5000万ドルを調達するとあるが、この額はあくまでも手数料を算出するための暫定額。各メディアによると、同社の企業価値は200億ドル以上とも言われ、調達額は10億ドルにのぼるとも見られている。
Grouponについて興味深いのは、今回の提出書類によってこれまで正確なところが分からなかった同社の業績が明らかになったことだ。この書類によると、2010年通期のGroupon売上高は7億1340万ドルで、前年の3050万ドルから実に23倍以上伸びている。2009年半ばに15万2000人だった登録ユーザー数は今年3月末には8300万人に増え、サービス開始からこれまでに販売したクーポンの数は7000万枚にのぼっている。
あらためてその急成長ぶりに驚かされるのだが、その一方で同社はいまだ利益を上げていない企業ということも分かった。2010年の損益は4億5630万ドルの赤字で、その前の年も690万ドルの赤字だった。今年1〜3月期を見ても、売上高は6億4470万ドルと、わずか1四半期で昨年の年間売り上げに迫る勢いなのだが、1億4600万ドルの赤字を出している。
その理由は、稼いだ収益を新市場への展開や、販売、マーケティングに注いでいるからだ。Grouponの書類には「我々はそこに長期的な投資機会があると判断すれば、今後も追求していく。短期的な結果にはとらわれない」などとあり、同社は損失を出し続けていることに対して臆するところがまったくない。今後も積極的に投資していく構えだ。
本記事は、日経BP社の総合ITサイト「ITpro」向けに弊社が執筆した記事「GrouponやLinkedInなど,相次ぐ大型上場はネットバブルの再来か?」の一部です。全文は、ITproのサイトにてお読みください。