米グーグルは2月16日、スマートフォンアプリの利用情報を広告配信のために使う機能を制限すると明らかにした。一方で同社は代替技術の開発を進める。これにより、利用者のプライバシー保護と精度の高い広告配信を実現するとしている。
「広告ID」を利用しない絞り込み
具体的には、「広告ID」と呼ばれる識別子(端末ごとに割り振る英数字)に代わる仕組みを用意する。従来、広告企業は広告IDを基に利用者を追跡して興味を把握、対象者を絞り込むターゲティング広告を配信してきた。だが、プライバシー保護意識の高まりや、規制当局、議員などからの批判を受け、仕組みを見直す動きが広がっている。
米アップルは21年4月、プライバシー保護を目的とした新ルール「アプリのトラッキング透明性(ATT)」を導入した。アプリ運営会社に対し、行動データの計測と追跡に利用者の同意を求めるよう義務付けている。具体的にはターゲティング広告配信に必要となる端末固有の広告用識別子「IDFA(Identifier for Advertisers)」をアプリが取得する際、ポップアップ画面を出して利用者から許諾をとる(オプトイン)ようにした。
しかし、多くの利用者はこれを拒否しているとみられる。米調査会社フラーリーのデータを引用した米ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、米国人利用者が「IDFA」の使用を拒否した割合は80%以上に上る。これによりアップル端末に配信される広告は利用者の絞り込み精度が低下。ネット広告を主要な収入源としているSNSの広告収益が減少したと指摘されている。
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