中国企業が米エヌビディア(NVIDIA)のAI(人工知能)向け半導体「HGX H20」の発注を大幅に増やしていると英ロイター通信が報じている。中国ディープシーク(DeepSeek、深度求索)の生成AIの需要が急増していることが背景にあるようだ。
ディープシークの登場でHGX H20調達合戦
情報筋によると、騰訊控股(テンセント)やアリババ集団、北京字節跳動科技(バイトダンス)といった中国IT(情報技術)大手がHGX H20の購入量を増やしている。これら3社は自社のAI開発にHGX H20を必要としている。加えて、クラウドサービスも展開しており、顧客企業のためにもHGX H20を大量に調達する必要がある。
関係者によれば、最近は医療や教育などの分野の中小の企業も、ディープシークの生成AIモデルとHGX H20を搭載したAIサーバーを購入し始めている。以前は、金融・通信といった資金力のある企業がAI演算システム搭載のサーバーを購入していたが、ディープシークが脚光を浴びたことで、利用企業の裾野が広がってきた。
ディープシークのAIモデルは、西側のAIモデルと同等の性能を持ちながら、コストが低いことで注目されている。特に「推論(インファレンス)」能力に特化することで、計算効率を最適化している。
中国の企業は、米オープンAIや米グーグルといった米国の企業と異なり、エヌビディアの最先端GPU(画像処理半導体)にアクセスできない。そこで、米国の輸出規制を満たすようにエヌビディアが調整した、中国向けHGX H20を採用している。HGX H20は、AI向け最新機能の多くを搭載しているが、米政府の規制に準拠するため、一部の計算能力が抑えられている。それでも中国製よりも優れているとされ、同国で強い需要がある。

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