米アップルが、インドで組み立てるスマートフォン「iPhone」の米国向け出荷を増やす計画であることが明らかになった。トランプ米政権による新たな高関税措置、特に中国製品への厳しい関税の影響を回避する狙いがある。対中関税への懸念で株価が急落したことを受け、当面の対策としてインドからの供給比率を高める考えだが、長期的には関税の適用除外獲得を目指しているようだ。
高関税懸念、過去25年で最悪の株価パフォーマンス
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として報じた。今回の動きは、トランプ大統領が打ち出した関税政策が背景にある。トランプ氏は2025年4月2日、全ての輸入品に10%の関税を課すほか、ハイテク機器サプライヤーの役割を担う中国、台湾、韓国にそれぞれ34%、32%、25%という高い税率を適用する相互関税(Reciprocal Tariff)を発表した。その後、後者の上乗せ部分は90日間停止し、当面は一律10%の基本税率のみを適用することにした。ただ、中国については、対米報復措置を取ったとして、それまで104%としていた関税率を145%に引き上げ、4月10日午前0時1分に発動した。
一方、インド製品への相互関税は26%に設定された。iPhoneはアップルの売上高の約5割を占める主力製品であり、その生産の多くを中国に依存している。この新たな措置が明らかになると、関税リスクへのエクスポージャー(影響度合い)を懸念する投資家が動揺。アップル株は3営業日で19%下落し、過去約25年間で最悪のパフォーマンスを記録した。その後の4月8日には前日比5%下落し、時価総額世界首位を米マイクロソフトに譲った。
こうした中、アップルは関税率が比較的低いインドからの米国向け出荷を増やすことで、中国からの高関税によるコスト増を相殺しようと考えた。関係者によれば、これは短期的な措置であり、同社は第1次トランプ政権時と同様に、最終的に関税の適用除外を勝ち取ることを目指している。現状の不確実性が高いことから、中国を中心とした既存のサプライチェーン(供給網)を抜本的に見直す段階にはないとみられる。

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