米電子商取引(EC)大手アマゾン・ドット・コムが、米国内で約80カ所の新物流施設を建設する、総額150億ドル(約2兆2000億円)規模の倉庫拡張計画を検討していることが分かった。建設ペース減速からの方針転換とみられる。計画実現に向けて外部の資本パートナー(投資家)を募っているという。米ブルームバーグ通信などが関係者の話として報じた。
ロボット導入施設も、長期リースで投資負担軽減か
計画されている物流施設には、顧客宅への最終配送を担う「デリバリーステーション(宅配ステーション)」に加え、多数のロボットを導入した大規模多層階の「フルフィルメントセンター(発送センター)」も含まれる見通しだ。アマゾンは潜在的な資本パートナーに対し、プロジェクトへの提案書提出を要請している。
施設完成後、アマゾン側は15年から25年という長期で賃借する意向を示しているとされる。これは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に自社で土地購入や建設を進めて過剰なスペースを抱えた反省から、再び開発リスクや初期投資を外部に委ねる戦略に回帰する動きとも考えられる。
アマゾンはその歴史の大半において、自社で土地を購入して倉庫を建設するのではなく、不動産開発業者が土地購入・建設のリスクを負い、同社が完成した施設を長期リース契約で借りるという形態を取ってきた。これは、開発リスクや初期の巨額設備投資を外部(開発業者)に委ねる戦略である。
しかし2020年から2022年にかけて、パンデミックによる需要急増に対応するため、このアプローチを一時的に変更した。自社で積極的に土地や開発済み物件を購入し、開発プロセスの一部を内製化する方向に舵を切った。この期間、物流拠点を数百施設開設し、従業員数を2倍の160万人超へと増やした。この施策が奏功し、同社の売上高は2020年から2021年にかけて60%以上増加し、利益は3倍近くに増えた。しかし、その後のEC需要は同社の予想を下回り、結果的に過剰な倉庫スペースを抱えることになった。

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