米アップル(Apple)のティム・クック最高経営責任者(CEO)は2019年8月にトランプ米大統領と会い、中国からの輸入品に対する関税について話し合った。アップルの競合である韓国サムスン電子が自社製品の多くを韓国で製造しており、米国の対中関税の対象にならないという状況で、同社は打撃を受けると説明した。これについてトランプ大統領は「クックCEOの意見はとても説得力があった。考慮していく」と述べた。
米政府は、ほぼすべての中国製品に制裁関税を広げる「対中関税第4弾」を同年9月1日に発動した。ただしスマートフォンやノートパソコン、一部の衣類・靴、玩具といった約550の特定品目については発動を12月15日まで延期する。これにより、9月10日にカリフォルニア州の本社で発表し、同月中に発売するとみられている「iPhone」の19年モデルは大きな打撃を免れる。12月までに十分な台数を中国から輸入して、年末商戦に臨むことができるからだ。
ただし、iPhoneの売上高は19年と20年に前年実績を下回るとアナリストらは予想している。ここ数年のスマートフォン市場の減速がその理由だという。
アップルは次世代通信規格「5G」対応のiPhoneを20年秋に発売するとみられており、これがきっかけで21年に業績がプラスに転じるとアナリストらはみている。とはいえ、このまま19年12月にiPhoneに対する関税が発動されれば、アップルの21年以降の業績に影響が及ぶと米ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。クックCEOとの話し合いに関してトランプ大統領が述べた「考慮していく」が意味するところは不明だ。
関連リンク:ウォール・ストリート・ジャーナル(アップルの業績と対中関税)中国市場で競合製品の人気に火がつく
iPhoneの19年4~6月期の売上高は前年同期比11.8%減の259億8600万ドルだった。米調査会社のIDCによると、この期間のiPhoneの出荷台数は3380万台で、同18.2%減と大幅に落ち込んだ。これに対し中国・華為技術(ファーウェイ)の出荷台数は同8.3%増の5870万台。ファーウェイは19年1~3月に初めてアップルを上回り世界のスマートフォン市場で2位に浮上したが、4~6月もアップルを抑えて2位を維持した。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「アップルはトランプ氏の対中関税をどう乗り切るのか?」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。