米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2021年7月、米Apple(アップル)が米ロサンゼルスで映画やドラマ撮影用の広大なスタジオ用地を探していると報じた。アップルはすでに同市などでサウンドステージと呼ばれる映画撮影用の防音スタジオを複数リースしているが、新たな拠点はそれらを補完するものになるという。不動産開発業者と候補地について協議中で、新拠点の敷地面積は4万6400平方メートル(東京ドーム約1個分)を超える可能性があると報じている。
アップル、動画配信テコ入れ
ここにきてアップルはエンターテインメント分野における野望を膨らませているとWSJは報じている。同社は、巨匠マーティン・スコセッシ監督の新作映画に資金を拠出している。作品は、米人気俳優のレオナルド・ディカプリオ氏とロバート・デ・ニーロ氏が共演する「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」で、現在オクラホマ州で撮影中。また、21年2月には話題作「CODA」の世界配給権をアップルがサンダンス映画祭史上の最高額2500万ドル(約27億6000万円)で獲得したとも報じられた。
アップルは19年11月に有料動画配信サービス「Apple TV+(アップルTVプラス)」を開始した。これまで「ザ・モーニングショー」や「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」といった人気番組などを配信してきたが、同社には作品数が少なく、競合の米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)や米Netflix(ネットフリックス)に比べて事業規模が小さい。アップルは音楽配信やポッドキャスト(音声番組)で成功を収めており、これらの事業と比較しても動画配信の規模は小さいと指摘されている。
米CNBCによると、アマゾンやネットフリックスはオリジナル作品やライセンス契約による作品がそれぞれ1000本以上ある。これに対しApple TV+のオリジナル作品は約90本にとどまる。
アマゾンは17年にオリジナル番組制作部門のアマゾン・スタジオの規模を拡大し、その拠点をハリウッド近くの伝統的な映画・テレビ番組制作施設に移した。カリフォルニア州カルバーシティーにある「カルバースタジオ」だ。サイレント映画の名監督トーマス・H・インスによってつくられたスタジオで、「風と共に去りぬ」や「市民ケーン」などもここで撮影された。WSJによると、カルバースタジオの面積は5万7000平方メートル(東京ドーム1.2個分)で、アマゾンはその大部分を占有している。ネットフリックスはこの地域で複数の撮影スタジオを利用するほか、ニューメキシコ州アルバカーキに自前のスタジオを持つ。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「ネットフリックス・ディズニー・アマゾン先行の米動画配信に再編のうねり」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。