SNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」を運営する米Meta(メタ)が社名を変更したのは1年余り前の2021年10月28日だった。このときマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、「数年内に当社はSNSの企業からメタバース(仮想空間)の企業へと変わる」と宣言。それ以降「次のコンピューター基盤を構築する」(同氏)との目標を掲げ、メタバース事業に多額の資金を投じてきた。だが同事業は赤字続きで、先行投資がかさむ状態が続いている。
同社は22年11月9日、全従業員の約13%に当たる1万1000人超を削減すると明らかにした。04年の創業以来初の大規模リストラで、ネット広告市場の低迷や株価急落に対処するようだ。ザッカーバーグCEOは同日、従業員に対し「これは悲しい瞬間だが、回避する方法はない」と説明した。パンデミック(新型コロナの世界的な流行)中に急増したオンライン活動が、その後も続くと想定したことは間違っていたと認め、「私はその責任を負う」と述べた。
メタバース事業の赤字は2023年も拡大
22年10月26日に開示した7~9月期のメタバース関連事業「Reality Labs(リアリティー・ラボ)」の売上高は前年同期比49%減の2億8500万ドル(約415億円)で、売上高全体に占める比率がわずか1%にとどまった。一方、同事業の営業損失は36億7200万ドル(約5300億円)で、前年同期の損失額26億3100万ドル(約3800億円)から拡大した。同社はメタバースを長年かけて育てる事業とみており、損失額は23年も拡大する見通しだ。
米CNBCによると、ザッカーバーグCEOは12年の新規株式公開(IPO)準備中に、投資家宛ての書簡で「私たちはお金を稼ぐためにサービスを構築するのではなく、より良いサービスを構築するためにお金を稼ぐ」と述べた。恐らく今後もこの信念に基づき、メタバースが成功するまでSNS事業で時間稼ぎをするのだろう。
しかし、その糧となる広告事業に逆風が吹いている。メタが先ごろ発表した22年7~9月期決算を受け、米株式市場で同社株が急落した。ロイター通信によると、決算発表日引け後の時間外取引で約20%下落し、時価総額が約670億ドル(約9兆7500億円)消失した。メタの時価総額は21年末時点で9219億ドル(約135兆1400億円)だったが、22年10月27日には2722億ドル(約39兆9000億円)となり、わずか1年足らずで70%減少した。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「メタやツイッターなどSNSに逆風、景気減速・ドル高・競争激化で人員削減も」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。