AI(人工知能)向け半導体大手の米NVIDIA(エヌビディア)が中国向けに開発中の半導体新製品に遅れが生じているようだ。英ロイター通信は2023年11月24日、エヌビディアが発売時期の延期を中国の顧客に伝えたと報じた。24年1~3月期にずれ込む見通しだ。これにより、エヌビディアは中国市場において地場のライバル企業である中国・華為技術(ファーウェイ)などにシェアを奪われる可能性がある。
ロイターによれば、エヌビディアは現在、中国市場向けの3種のGPU(画像処理半導体)を開発している。「H20」「L20」「L2」である。このうち、最も性能の高いH20の発売時期が24年2月、あるいは同年3月になる可能性があると関係者は話している。複数のサーバーメーカーがこの半導体の統合に関して問題に直面していることが延期の理由だ。
米政府の対中輸出規制に直面している今の同社にとって、クラウドコンピューティング事業を手がける米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)など米企業との連携強化や、GPUの性能向上によるシェアの維持・拡大が最重要課題になっている。
性能強化で優位性の維持狙う
エヌビディアは23年11月13日、AI向け先端半導体の性能を向上させたと明らかにした。「H200」と呼ぶ新たなGPUを搭載したシステムは、世界の主要なサーバーメーカーやクラウドサービスプロバイダーが採用し、24年4~6月期に利用可能になるとした。
H200は、現行製品の性能を大きく上回る。主な特徴は、より高帯域幅のメモリーだ。これは、半導体で最も高価な部品の1つであり、高速処理できるデータ量を決定する。「HBM3e」と呼ばれる141Gバイトの次世代メモリーを搭載しており、前モデルの「A100」に比べてほぼ2倍の容量と2.4倍の帯域幅を実現する。エヌビディアによると、米Meta(メタ)の大規模言語モデル(LLM)「Llama 2」の推論速度が、エヌビディアの現行GPUである「H100」と比較してほぼ2倍に速くなるなど、性能は向上する。将来のソフトウエアアップデートにより一層の向上と改善が期待できるとしている。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「好調NVIDIAが直面する対中輸出規制、新型GPUやAmazon連携で打開図る」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。