2年後の7月をめどにMicrosoftの日常業務から退くと発表したWilliam H. Gates III(Bill Gates)氏。チーフ・ソフトウエア・アーキテクトの役職はすでにRay Ozzie氏に譲っており,会長職は2008年8月以降も続けるものの,非常勤の相談役としての地位に退く。事実上の現役引退である。そのGates氏が今後専念するのが,同氏の慈善財団「Bill & Melinda Gates Foundation」(ビル アンド メリンダ ゲイツ財団)である(写真1)。今回は,本コラムでこれまであまり取り上げなかったこの財団についてレポートする。Gates氏が50代前半という若さで現役を退き,第2の人生の活動拠点として力を注ぐその財団とは,いかなるものなのだろうか。
世界2位の資産家が4兆円を寄付
Gates氏引退の衝撃もまだ続く6月25日,米国の投資会社Berkshire Hathawayの会長で,Gates氏に次ぐ世界2位の資産家といわれるWarren Buffett氏が,自らの資産の85%を複数の慈善財団に寄付し,その大半をGates氏の財団に回すと発表した。これは歴史上類を見ない規模の寄付で,金額にして約370億ドル(4兆円超)にもなる。当然のごとく大きな話題となり,Buffett氏はFORTUNE誌の表紙を飾ったり(CNNの記事),Gates氏,Melinda夫人とともにテレビ出演するなど脚光を浴びた(Google Videoの映像)。
Bill & Melinda Gates Foundation(以下,Gates財団)の資産残高は現在292億ドル(3兆円超)。2005年には総額13億6000万ドルの助成金を出すなど,慈善財団では米国最大の規模。Buffett氏からの寄付を単純に加算すると,600億ドル(約7兆円)という,とてつもない額になる。これに伴い,来年以降,財団の助成金を2倍に増やす予定だ。その額は,UNICEF(国連児童基金)が集める寄付金の年間総額27億6200万ドルに匹敵することになる。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「ビル・ゲイツが第2の人生を賭ける巨大財団の実態」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。